純粋種烏骨鶏を維持する理由

純粋種烏骨鶏を維持する理由

純粋種の烏骨鶏は“十全”(※1)と言われる10個の特徴を有し、採卵鶏(白色レグホンなど)やブロイラー用鶏(白色コーニッシュなど)と異なって産卵数や産肉量のいずれも極めて少なく、実用鶏としては不向きな品種と見られてきました。
しかし、純粋種・烏骨鶏の卵や肉には滋養豊かな効能を持つ有用成分が含まれ、中国漢方医学(※2)においては薬用品種として飼育されています。

鶏は産卵・産肉性や抗病性などの特定な経済形質について強く育種選抜すると外観や体型が著しく変貌し、このような形質を選抜した烏骨鶏では脚毛がなく脚鱗(きゃくりん)になっている系統、耳朶(じだ)も青緑色から白色になっている系統、さらに筋肉(肉)も黒色から通常の肉色になっている系統まで認められ、このような系統の烏骨鶏は純粋種と異なり卵や肉の有用成分量が大きく減少しています。
純粋種の鶏を小規模な閉鎖群で飼育すると近交係数が上昇し、繁殖(産卵)能力、孵卵率、育雛率、生存率および抗病性が劣化します。
このような状態に陥った鶏群はほどなく滅亡に向かうと考えられ、多くの烏骨鶏群はこの状態を避けるために、烏骨鶏を主体に交雑した鶏種に変貌させられます。

(株)キャナリィ21のプリンセスシルキィー系統の烏骨鶏は純粋種の特徴である“十全”を維持するために十分な規模の鶏群で飼育され、経済形質に対して育種選抜せずに集団内で表現型の似通いの程度や遺伝的に近縁か遠縁かを基礎としたランダム交配によって閉鎖群を維持・管理されています。したがって、プリンセスシルキィー系統の烏骨鶏は滋養豊かな有用成分を豊富に保持している純粋種と見なされています。

参考:

※1 純粋種・烏骨鶏の特徴“十全”:(「中国家禽品種誌」、北京、1988)

  • 1)紫冠(濃紫色で桑の実のような形をし、王冠(coronet)またはバラ冠と称されている)であること、
  • 2)纓頭(エイトウ、頭に細毛が付いている冠で、鬣(たてかみ)のように見える。)であること、
  • 3)緑耳(耳が緑色ですが、少しピーコックブルー(青緑)に見える。)であること、
  • 4)五爪(足指は一般の鶏では4本であるが、烏骨鶏は5本である。)であること、
  • 5)毛足(柔毛が脛から足指に分布し、中趾と外趾も柔毛に覆われている。)があること、
  • 6)糸毛(翼羽と尾羽以外、全身の羽は絹糸状となっている。)であること、
  • 7)烏皮(全身の皮膚は黒色である。)であること、
  • 8)烏骨(骨膜は黒く、骨髄と骨が淡い黒である。)であること、
  • 9)烏肉(筋肉、内臓および腹腔内の脂肪も黒色である。)であること、
  • 10)舌、嘴や爪も全て黒色であることである。
  • 追加:「羽装」について、
    「羽装」の大部分は白や黒色であるが、しばしば淡い褐色も存在する。

※2 主として婦人病、特に久しく子供を授からなかった人のために、烏骨鶏丸( “乌鸡白凤丸(wuji baifeng pills)”)という
   薬品の原料として調製されている。

岐阜大学名誉教授(家禽学) 川島 光夫

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